岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

#71 ゴルファーのためのトレーニングについて学んできました

定例勉強会へ参加するために大阪へ行ってきました。 今回のテーマは『ゴルファーのコンディショニング』について。

クライアントさんでもゴルフをしている方は大勢いますし、ドライバーの飛距離を伸ばしたいなどパフォーマンスを向上させたいという相談もよく来ますので身近なテーマです。

筋力がアップすればパワーは上がるのか?

ゴルフをしている人が相談に来るケースで多いのが、「飛距離を伸ばすにはどんな筋トレをしたら良いですか?」、「コーチから体幹を鍛えるように言われたのですが」、「ゴルフの捻る力をつけるにはどんな筋トレがいいですか?」などなど・・・

多くの人はパワー=筋力、筋力が上がればパワーも上がると思っています。 ですが、一般的に言われているパワーというのは『馬力』のことです。 機械的なパワーの定義では、最大筋力の1/3の重さのものをMaxのスピードで挙げれば一番大きな馬力が発揮されると言われています。

例えば、ベンチプレスで90kgが1回なんとか持ち上げられるならその1/3である30kgの重さを最大のスピードで挙げれば最も大きなパワーが発揮されるということです。

しかし、それはベンチプレスを挙げる馬力が上がるというだけの話です。 いくらバーベルを持ち上げる馬力が上がってもドライバーの飛距離が伸びるとは限りません。 なぜならゴルフのクラブのスイングに必要なパワーは馬力ではないからです。

ゴルフに必要なパワーとは?

アスリートに必要なパワーは『スピード筋力』です。 ゴルフならクラブを振るパワーを上げることですが、そのパワーは筋力優位のパワーではなく、『スピード』が優位のパワーを上げることが重要になってきます。 *ゴルフのクラブは1kgもありませんから、重いものを一生懸命振る必要がないからです。

ですが、このスピードに関しても多くの人が勘違いしています。 ゴルフのスイングで例えると、多くの人はテイクバックからミートのポイントまで一気にトップスピードを出そうとします。ですが、スピードは一気に上がることはありません。 それによって生まれるのは筋肉の緊張、『力み』です。

スピードを向上させるために忘れてはいけないのは『加速させていく』という発想です。 ゴルフのスイングなら、テイクバックからミートポイントまでいかにクラブのヘッドを加速させていくかということです。

そのためには「加速過程」というものがポイントになってきます。 加速していく過程が長いほどスピードは上がりやすく、小さいとスピードは上げにくいということです。 つまり、身体や筋肉が硬くてテイクバックが小さいとヘッドは加速しないのでヘッドスピードは小さくなり大きなパワーは発揮できないということです。 パワーをアップさせるためには柔軟性が必要になってきます。

ゴルフに必要な柔軟性とは?

「柔軟性」とひと言に言っても体前屈のような静的な柔軟性もあれば動きの柔軟性もあります。

ゴルフのスイングに必要な柔軟性を考える時にスイングという動きがきちんとイメージできなければいけません。 柔軟性というと肩甲骨、股関節などは思い浮かびやすいですが、「肩甲骨のどんな柔軟性が必要か?」、「股関節のどんな柔軟性が必要か?」という具体的な柔軟性をピックアップするためには動きがきちんとイメージしておく必要があります。

ゴルフのスイングは捻りを使いますから、きちんと捻ることができる柔軟性が必要です。 そのためには脊柱の柔軟性は欠かせません。 また、筋肉の連動も必要になってきます。

脊柱の柔らかい動きが出て来ればしなりが出てきます。 しなりが出てくれば加速過程は長くなりスイングスピードは上がりパワーも上がります。 楽に大きな力が出せるようになります。 簡単に言えば「棒とムチ、どちらで叩いた方が大きな力が出せるか?」ということです。

自然にそうなるものを作ってやらせない

ゴルフのパフォーマンスアップの次に多い相談が腰痛など身体の不調に関するものです。 そして、その多くがスイング動作の問題です。 特に多いのが、『結果的にそうなるものを作ってやらせようとする』ものです。 「テイクバックで股関節に体重を乗せて」、「膝を内側に絞るように腰を回転させる」、「テイクバックしたら腕は残しておいて下半身を先に捻る」などなど・・・

本に書かれていたり、なかにはコーチがそういったアドバイスをするケースもあるようですが、自然にやればそうなるものを意識してやらせると、必ず筋肉の緊張が起こります。 筋肉を緊張させるような動作を繰り返せば、筋肉を使い過ぎて筋肉は硬くなります。 そうなれば腰などに痛みが起こっても不思議ではありません。

アドバイスというと細かいところばかりに目が行ってしまいますが、アドバイスはシンプルにすることが必要です。 筋肉に緊張が起こればスピードも出ませんからパワーも小さくなってパフォーマンスも下がってしまいます。

相手にどういったことをやるのかをきちんと理解させる

柔軟性を改善するためのアプローチとして体操を行いましたが、その中でポイントになるのは相手に「どういったことをやるのか」、「何をインプットしたいのか」ということでした。

ただ前屈をやるにしてもサポートする側が動かしてもどうしてそのように動くのかということを相手に理解させていなければ動かされると身体の緊張が起こってしまい、動作はスムーズに行うことができないので前屈のやりやすさは全く変わりません。 しかし、「身体をこのように動かすと前屈がやりやすくなる」ということをきちんと理解させて誘導していくと身体が緊張をすることもありませんし、動きがスムーズになるので身体の連動性が良くなり前屈動作もどんどんやりやすくなります。

バンザイの動作をするにしても、ただ腕を挙げるのか、自然な挙げ方を教えるのか、身体を伸ばしたいのかによって終わった後の結果は全く違ってきます。

その他にも皮膚の誘導を使って体幹を緩めたり、捻りやすいカラダを作るために様々なアプローチが出てきましたがどれも非常にシンプルです。 ですが、それだけに誘導する側のサポート技術のレベルが必要なものが多かったように感じます。

一般の愛好家の場合、パフォーマンスをアップさせるには筋力向上ばかりを考えるよりも柔軟性を向上させていくことの方が重要、効率が良いということはわかっていましたが、今回はバイオモーターアビリティまで細かく整理できて、さらにゴルフのためのトレーニングの考え方の理解が深まったように感じます。