岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

バットを速く振るにも下半身の使い方は大切

野球のクラブチームに所属している中学生からバッティングについて相談が来ました。 ボールにバットが当たらない、当たっても打球が跳ばない、コーチがたくさんいて、みんながあれこれ言うので振り方がわからなくなってしまい絶不調に陥ってしまったということでした。

子供のクラブチームのコーチをしている人の多くは野球経験者ですので自分ができている感覚を相手にやらせようとしてしまいがちです。 「どうしてできないんだ」という言葉をよく耳にしますが、それは自分ができる感覚の話をしているだけで選手がそのようにできない原因がきちんとわかっていない、コーチの指導力の問題ということです。

また、プロのバッティングフォームの連続写真やスローモーションの動画を見て、「脚はこう、腰はこう、腕はこうしろ」という細かいことを指導するケースもよく見られますが、そういう細かいことを言い過ぎることもうまくいかない原因になります。(最終的には「筋肉が弱いからもっとしっかり食べて筋肉を付けろ」と言いがちですが、中学生、身長がまだ伸びている時期にいくら筋肉を鍛えても横にはあまり膨らみません。いくら米を食べたりタンパク質をたくさん摂っても筋肉は付きません。食べ過ぎれば体脂肪に変わるだけです)

意識すると筋肉は緊張します。緊張はブレーキです。 また、「1度にできる意識は1つだけ」です。 ゆっくりとしたスピードで振るのがうまくなりたいならそういう指導でいいですが、ピッチャーの手から離れてキャッチーのミットに届くまで何秒もないのにあれこれ意識してブレーキがかかっているスイングで速いスピードで自分に向かって来るボールが打てるはずがありません。 そう考えてみると、打てないように教えているわけですから結果に正しいということです。

大事なのは理屈ではなく、“打てるように教えてあげること”です。 実際、指導した後の結果を聞くと打てるようになり、打球も跳ぶようになったようです。

アドバイスしたのは「立つ→移動する→振る」ということだけです。 バッティングは下半身で生み出した力をバットのヘッドに伝えないといけません。 下半身の使い方が大切なのですが、そういう指導はほとんどされません。 足を上げた時にグラグラするような立ち方で下半身から力が生み出せるはずがありません。

いくら筋肉を鍛えてもスイング動作で使えていないなら何の役にも立ちません。 下半身が使えていなければ腕でバットを振るしかありませんから鋭いスイングはできませんが、打ちに行く時の下半身の使い方といえば「腰を入れろ」、「膝を内に絞れ」という指導が多いですが、それを意識しても下半身からの力はバットには伝わりません。

基本的な下半身の使い方はピッチングと同じです。 軸足のプッシュが重要です。(足の置き方など諸々細かなポイントはありますが)

次に“バットのヘッドを加速させる感覚”です。 バッティングに必要なのはスピードが優位のパワーです。 いくら筋力があってもバットのヘッドスピードが遅いと大きなパワーは生まれません。 ゴルフをしている人を見ていますが、ヘッドスピードが上がらない人には共通しているのは「腕で振り回そう」とします。 腕のような体の先端部分の筋肉が力が入って緊張で硬くなってしまえば単なる“重り”にしかなりません。 先端部分が重くなってしまえばスイングは鈍くなるだけです。 大切なのはリラックスですが、力む人に力を抜けてと言っても力が入らなくなりボールが余計に跳ばなくなると思ってしまうのでやはり力が抜けません。

速く振ろうとする必要はありません。 自分のポイントでボールに当たる時にスピードが速ければいいだけです。

バットを振り出す時に使うのが「重力」です。 地球上では重いものは下に落ちますからバットのヘッドの重みを利用してボールに向かってダウンスイングしていくと重力加速度によってバットは加速していきます。 そういうスイングはミートポイントで一番良い「音」が鳴ります。 力んだスイングはミートポイントの手前で音が鳴ったり、良い音も鳴りません。 そうやって「聴覚」を利用してスイングさせると力を抜いた時の方がバットが速く振れている、良いスイングができていると認識できるようになるので自然と力みもなくなります。

あとはフォロースルーのイメージを伝え、素振りの形ができたら実際にボールを打って“打つ練習”をして終わりです。 素振りはスイングのチェックにはなりますが、空振りの練習をしているという面もあります。 やはり実際にボールを打たなければ打てるようにはなりません。

難しいテクニックの理屈をこねる必要はなく、打てるように教えればそれなりに打てるようになるということです。 必ずしも経験、感覚が指導の役に立つとは限らないということです。 そういう時ほど「基本」が大切になってきます。