岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

#107 エクササイズの考え方について学んできました①

定例勉強会に参加するため大阪へ行ってきました。

今回のテーマは「エクササイズの考察」 健康づくりからスポーツパフォーマンスを高めるためなど、様々な目的に合わせたトレーニングの考え方を学びました。

健康的な身体を手に入れるため、スポーツパフォーマンスを高めるため、筋肉の柔軟性を高めるためなど目的達成するために世の中いろいろなエクササイズ、ストレッチングがありますが、言っていることとやっていることが合っているのかよく考える必要があります。

年配の体が硬い人が下半身の筋力の衰えの予防・改善をイメージしていながら、そのためのエクササイズというとレッグランジのような筋トレのエクササイズの方をついつい思ってしまいます。 考えてみても年配の方が脚を前後にして立ってすんなりバランスが取れるのか?が疑問ですし、さらに上体を立てて手を後ろで組んだり、2Lのペットボトルを片手ずつに持ってバンザイさせるという肩の柔軟性がないと難しいことをさせてしまっては言っていることとやっていることが合わない、目的がズレてしまいます。

筋トレが重要だと言いながら自分がやっている見本の動きややり方が不適切なのにそれを見て対象者がきちんとできるようになるかというと疑問です。 また、野球のバッティングで捻りのパワーが必要だからといってメディシンボールを下から放り投げてもバッティングは上から下に向かって振りますから動きを考えてもとても適切なことをやっているとは言えません。

エクササイズやストレッチングも不自然な動き、引き出したい筋肉の反応に対して刺激が不十分だったり、態勢やポーズが難しいものがたくさんあります。

例えば、腰痛を改善するために腹筋を鍛えるようなものがあります。 うつ伏せで肘をついた状態で腰を浮かせてじっとする体幹レーニングがありますが、腹筋を鍛えることばかりに意識が行ってしまってそもそもの大前提を忘れてしまってはいけません。 腰が痛い人がうつ伏せで腰を浮かせようなことは辛くてできないということはちょっと考えればわかることです。

エストを引き締める運動として上体起こしの腹筋がよく用いられます。 くびれを作るために脇腹の筋肉を刺激するために横向きの姿勢から上体を起こすような動きをしたり、させる場面をよく目にしますが外腹斜筋の走行方向をイメージしてみると上体を真横にとしても外腹斜筋はほとんど使われません。

ストレッチングではある一つの筋肉を伸ばすことばかりに意識が行ってしまい難しいポジション、辛いポーズのものをよく見かけますが、筋肉の緊張を解くのに緊張した状態でやらせても筋肉は柔らかくなることはありません。

エクササイズを考える時には、“楽なポジション”で関節の適切な動かし方で体の繋がり、筋肉の繋がりを意識する必要性があります。

“どこかが弱いからそこの筋肉を鍛える”、“筋肉が使えていない”というような話もよく聞きますが、なぜその一部分だけ弱いのかという原因がわからないのに処方箋は出せません。 パフォーマンスの中で体の一部分だけ出力が弱いというのはあり得ません。 人の体を別々に使うことがそんなにたくさんあるでしょうか。 ワンポイントの強化よりも体のバランスが崩れていないか?動作の手順・動かし方に問題はないか?足の着き方はどうか?そういった視点で見るようにする必要があります。

スポーツパフォーマンスを高めるために様々な競技でウエイトトレーニングが取り入れられていますが、筋力アップがどれくらいパフォーマンスアップに繋がるかはわかりません。 サッカーなどボディコンタクトがある競技で腹筋、背筋が100回できてもベンチプレス、スクワット、デッドリフトで大きな重りを持ち上げられたからぶつかっても倒れないなんて保証はありません。 しかし、日頃からぶつかる練習をしっかりやって慣れることでぶつかっても倒れにくくなるということもあると考えられます。

筋トレやプライオメトリクスをやれば球速が上がるなんて保証もありません。 筋力やパワーを高めても投球フォームに問題があれば球速が上がることはありません。

スキージャンプも地面を踏み込む力を高めてもそもそも飛び出す時の体の使い方に問題があればパフォーマンスの向上には繋がりません。

スピードスケートでも空気抵抗を減らそうと上体を低くすれば股関節の角度が窮屈になります。 そうすると肝心のブレードで氷を押す力が十分に発揮できません。 スクワットで筋力を高めたり、リフティングで地面を押す力を高めても実際の動きで力が発揮しにくい動作のやり方をやってしまっては高めた筋力、パワーはほとんど役に立ちません。

オリンピックで優秀な成績を収めている選手は力だけでなくこういった体の使い方のレベルも高いから良いパフォーマンスを発揮できているということです。

筋力、パワーというと筋肉という捉え方、1RMの何%の負荷というものばかり意識したプログラムが多いですが、1RMの何%でやらないと筋肉が大きくならないと勘違いされがちです。 筋肉は速筋線維(白筋)、遅筋線維(赤筋)があります。 大きくなるのは速筋線維です。 ということはスピードを意識したものでも速筋線維を刺激することができます。 適切な刺激を適当量与えれば速筋線維は大きくなるという反応を示します。 どのスポーツもスピードという要素は無視できません。 1RMの発想では本当に速筋線維が刺激されているのかわかりませんし、そういうトレーニングはスピードが遅いので馬力は上がったとしても実際の競技の現場ではほとんど使えません。 1RMの何%という発想ではなく、どの筋肉を使いたいのかということから考えればもっと確実に速筋線維を刺激して狙った反応を引き出すこともできます。

レーニングについての考え方がまた整理でき、また少し理解が深まったように思います。