じっとしていることが体幹トレーニングではない
体幹を鍛えることは大切なことですが、一般的に行われている体幹トレーニングは目的と方法が合っていないものが多いです。 体幹に必要な筋力は、『背骨の自然なS字カーブを維持する』こと、つまり“姿勢がブレないこと”です。
しかし、一般的に行われているのは体幹の固め方を身につけるためのものです。 もちろん使い方を覚えることは大切ですが、それは体幹の強化にはなりません。
動きを覚えさせたいのであれば負荷をかけて行う必要はありませんのでうつ伏せや仰向けで行う体幹固定の意識を作るエクササイズは効果的ですが、強化したいのであればやはり筋肉に負荷をかけてトレーニングすることが必要です。
そうするとスクワットやデッドリフトは立派な体幹トレーニングです。 重いバーベルを担いできちんと立つためには腹背筋をしっかり固定させることが必要です。 重いバーベルを下から持ち上げる時にもしっかり腹背筋を固定させないと腰を痛めてしまいます。
しかし、それはお腹を凹ませることとは違います。 お腹を凹ませると姿勢は保てなくなります。 負荷に負けて姿勢が崩れないようにすることで腹背筋は自然と固定されます。 そうすると良い姿勢が維持できるようになり、歩いたり、しゃがんだり、立ち上がったりという動作も楽にできるようになります。
競技をする人に必要な体幹についても同様です。 競技において必要なのは“ブレないカラダ”です。
一般的にはずっと体幹を固定させておく力をつけるためにうつ伏せや仰向けで同じ姿勢を維持し続けるようなエクササイズが行われます。
それをしたところでうつ伏せや仰向けで体幹を固定する感覚は良くなるでしょうが、立って行う競技のパフォーマンスがアップするという直接効果はありません。
結局パフォーマンスをアップさせたければその競技の“動きのトレーニング”をする必要があります。
ゴルフをしているクライアントさんを指導していますが、主なエクササイズはスクワットやデッドリフトでお腹を捻るようなエクササイズは一切やりません。 捻るようなエクササイズをやらなくても姿勢や身体のバランスが良くなることで腰を回転させる動作がやりやすくなって楽にクラブが振れるようになります。 あとは、ゴルフが上手くなるのはコーチにきちんと技術を教わるからでトレーニングをするからゴルフが上手くなるようなことはありません。
体幹を鍛えることは大切ですが、どういった目的で、どのような筋肉、筋力が必要なのかということをよく考えないと効果が違ったところに出てしまいます。 効果が出ないのはトレーニングが悪いのではなく、目的に合ったやり方でできていないということです。
アスリートがやっていたから、テレビや本で出ていたから必ず結果を約束してくれるものではありませんので、どういった体幹の強さが必要なのかをよく考えてトレーニングすることが大切です。