岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

#66 走るについて学んできました

定例勉強会に参加するために大阪へ行ってきました。 今回のテーマは、『走る:スプリント、長距離、球技など』 これも何度も繰り返し学んでいるテーマです。

・ランニングスピード=ピッチ×ストライド

ちょうど桐生選手が追い風参考ながら9秒87という記録を出しましたが、ランニングスピードを向上させるにはいかに速いピッチの中でストライドを広げていくかが重要です。

ピッチというのは自分の持っている筋肉をどれだけ速く収縮させることができるという能力、つまりその人の素養です。 これは生まれ持ったものですからトレーニングで向上させることは難しいですが筋肉を収縮させるスピードを落とさないようにトレーニングすることは必要です。

100mはいかに少ない歩数で速いゴールを駆け抜けるかということですから大きなストライドが必要になってきますが、ただ大きなストライドで走れば良いという話ではなく、最速のピッチでストライドを広げていく必要があります。

・速く走るためには練習だけでなくトレーニングも必要

速く走るための手段として多いのが「走る練習だけしかしない」というものです。 最近では中学生でも100mを10秒台で走る選手が増えています。 普通に考えると練習をしっかり行っていけば10秒も切れそうなものですが、実際には未だに日本記録は9秒台に突入できていません。 その大きな理由が走る練習しかしないからです。

例えばスピードのバリアを破るために今の走るリズムより速いスピードを体験するオーバースピードトレーニングというものがあります。 速く走る時の手脚の動かし方を経験することで速く走れようにするというものですが、これはスピードが開発されていない段階では多いに役立ちますが、高いレベルになってくるとそれだけではなかなか速く走ることはできなくなるそうです。 速く走るためには練習だけでなくトレーニングも必要になってきます。

ピッチはトレーニングで変えることができないものですから、ストライドを伸ばすためのトレーニングが特に重要になってきます。

・動きを見る目

参加者の方が実際に指導しているクライアントさんで走ると痛みが起こるというケースでウォーキング、ランニングの動画を見て歩き方、走り方の問題を考えていきました。

動画を見る前にどこに痛みが起こるかということを聞いただけでどういった着地になっているのかがだいたいイメージして見るということも大切です。

動画から左右の腕の振りの違い、走っているスピードと腕を振る速さの違和感、足の運びの違い、左右の着地音の違いなど様々なフォームの問題点がありました。

先生が言われるとそのように見えてくるのですが、動きを見ただけではそこまでたくさんの問題点を見つけられなかったので動きを見る目をさらに養うことの大切さを改めて感じました。

・ランナーに強い体幹は必要か?

箱根駅伝で優勝した青山学院大体幹を固めるトレーニングを行っていたということが話題になりましたのでランナーに強い体幹が本当に必要なのかということについて質問しました。

どんなに強い体幹があっても走る時の姿勢やランニングフォームに問題があれば速く走れることはないということでした。 たまたま優勝したチームや選手がやっていたからというだけで体幹が強くても腕振りが悪ければ走っている時の体幹はブレてしまいますし、タイムが速くなるということもないそうです。

走る時の姿勢に問題はないか、ランニングフォームに問題がないかをチェックしてランニングフォームを修正するようなトレーニングを行う方が体幹を鍛えることよりも速く走ることに繋がるということです。

・マラソンのタイムを向上させるためのトレーニングの考え方

ラソンブームもあり、最近では一般の方でもランニングする方が増えています。 完走できると次はタイムを良くするために持久力やランニングスピードを向上させるトレーニングプログラムを細かく考えてしまいますが、まずはランニングフォームに問題がないかをチェックしてそれを修正する方が効率良くタイムを向上させることができます。

また、体重が重ければ体重を減らすということも効率の良い方法です。 これは体重1kgあたりの最大酸素摂取量が目安になるのですが、体重1kgの増減での酸素の利用効率は大きく違ってきます。

速く走るということも1つの方法です。 一般の方は速く走る時の脚の動きと自分のペースで走った時の脚の動きに差がありません。 ゆっくり走っていても脚の回転させる時に余裕がないのですぐに疲れてしまうそうです。 そこで速い脚の回転の練習をしてゆっくり走った時の回転の余裕を作るということも効率の良い方法になってきます。

タイムを基準にして走るという方法もあります。 ここで気をつけないといけないのは練習で走るペース設定です。 多くの人は目標タイムを基準にして平均ペースで1km何分何秒で行かなければならないと考えて走ろうとします。

しかし、ペースを決める基準は目標タイムではなく自分の1kmのベストタイムです。 それに対して筋力トレーニングと同様に何%の負荷をかけるかによって持久力を向上させることができます。 ですからトレーニング負荷を見直すために定期的に1kmのタイムトライアルを行うことも必要になってきます。

ダッシュについての勘違い

今回は陸上以外の競技の走る動作の見方、考え方について質問させていただきました。

バスケットやサッカー、野球の盗塁などで出てくる『ダッシュ』についての考え方を教わりました。 ほとんどの競技でダッシュというと全力でバタバタ走るような動きになりがちです。 しかし、脚をバタバタ動かすと動作の中での流れがなくなり、エネルギー消費が激しくなります。 バスケットだと走るだけで疲れてしまうとシュートの確率が下がってしまいます。

バスケットなどの競技では走る時には全力でダッシュするのではなく『スピードに乗る』ことが重要になってきます。 しかも3歩や6歩という少ない歩数で上手く乗ることです。

スピードに乗ったらリラックスして慣性を利用します。 そうすることで無駄なエネルギー消費を抑えられシュートの確率を下げるリスクを抑えることもできます。

・シンプルな言葉、リズムを使って教える

後半は実技を踏まえて歩行からランニング、スプリントといった走り方の身体の使い方を教わりました。 基本的な練習は何度もやっているのですが、改めて先生の誘導、声かけを聞きながら練習するとどんどん余計な力が抜けてリラックスしていく感覚、身体がどんどん前に進んで速く走れるようになる感覚があります。

自分の指導との違いは、『シンプルな言葉を使う』、『リズムから教える』ということでした。 動きを教える時にはどうしても身体や脚をどうするのかをいろいろ説明してしまいます。 感覚の鋭い人ならその言葉でも理解してもらえるかもしれませんが一般の方ではなかなかそうはいきません。 先生が教える時には細かい身体の動きもシンプルな言葉やリズムをアドバイスされます。 テンポを速くさせたい人には「もっと速く」ではなく、音などを使ってアドバイスされます。

懇親会で先生が「速く動けと言っても本人は速く動こうとして速く動けていないのだから言葉で説明しても動きは変わらない。 音などを使うと相手も動きのリズムが掴みやすい」というようなことを仰っていました。

意識するポイントや動きのリズムをシンプルな言葉でアドバイスしていただきながら歩行やスプリント、ランニングの練習をすると自然と速く走る感覚が掴めます。 それだけでなく太ももの前の筋肉がどんどん緩んで柔らかくなり、ヒップアップしたような感覚も出てきます。

今回気づいた点を自分の指導に取り入れながら実践してランニング、スプリントについての理解をさらに深めていきたいと思います。