岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

スクワットやベンチプレスで筋力がアップすれば速く走れるようになる?

市民ランナーからの相談で多いのが、「走るスピードをアップさせるために筋力をつけた方がいいと言われてベンチプレス、スクワットといったウェイトトレーニングをやっているが走るスピードに繋がってこない」というものです。

筋力を高めることでランニングスピードが上がることもあるでしょうが、筋力が上がれば必ずスピードが上がるというものでもありません。 ランニングスピードは長いストライドで脚の回転が 速ければ速く走れます。 つまり、「ピッチ(脚の回転)×ストライド」によって決まります。 ピッチとストライドが今よりも高まればランニングスピードは上がるということです。

ピッチは脚の回転の速さですが、速く動くには筋肉そのものが速く収縮しなくてはいけませんがそれは生まれ持ったものが強く影響します。トレーニングで変えることは難しいことです。 それでは速く動く筋肉があれば脚の回転は速くなるのかというとスピードには“動きの速さ”というものもあります。 それには効率の良い動き、スムーズな動きが必要です。 そのためにはトレーニングが必要ですが筋力を高めることよりも「体の使い方・動かし方のトレーニング」です。

ストライドは前方への重心の移動ですが、これには前方だけでなく高く飛ぶ力が必要です。 これらが高まればストライドも伸びると考えられます。 それには「筋力」が必要になってきますが、最大筋力よりもスピードと筋力を兼ね備えたスピード・筋力(パワー)です。

ベンチプレスはベンチプレスの、スクワットはスクワットの動作が力強くなるだけです。 走る時の腕振りは肩関節の振り子運動ですがベンチプレスは体の前で押して戻るだけの動きです。 スクワットで深くしゃがんで地面をグッと踏んで立ち上がっても、走っている時にそんなに深くしゃがむような動作はありません。 地面との接地時間もランニングスピードが高くなればなるほど短くなります。 走るという動作、ベンチプレス、スクワットの動作を考えてみるとこういう矛盾が生じてきます。

そうすると、「筋トレは意味がないのか?」という話になりますが、筋トレが意味がないというのではなく、筋力はあくまでスピードを高める1つの要因でしかなく、ランニングスピードを高めるには何を高めないといけないのかをきちんと理解しておけばそのために具体的にどんなことをすればいいのかも思いつきますが、それがわかっていないとせっかく筋トレをしても何の役にも立ちませんよということです。

ランニング指導のほとんどのケースでまず“走り方”の修正からスタートします。 一生懸命腕や脚を動かしても動作スピードが高まるどころかブレーキになって遅くしてしまうだけです。 動きに無駄が多いのに筋力だけ高まったところで余計に力に頼った走りになるだけです。 スムーズな動き、効率の良い動きに必要なのは「リラックス」です。 そして力は「一瞬に大きな力を発揮する」だけです。 ランニングスピードが高まれば接地時間はどんどん短くなります。 長く大きな力を出しているような暇はありません。 リフティングやプライオメトリクスで爆発的な筋力を高めるのもいいですが、あくまで目的はランニングスピードを高めることですから、走りに繋がらなければそういうトレーニングも意味がありません。

ランニング指導で行う腿上げやお尻叩きは脚の回転をスムーズにするためのトレーニングになりますし、両足ホップ、片足ホップ、スキップといったドリルは動きづくりだけでなく、やり方を工夫すればプライオメトリクスにもなります。

なのでそういったものをきちんとやることでピッチとストライドの両方が高まり自然と走るスピードも上がり、楽に走っているのに速く走れるようになります。

ウェイトトレーニングをして筋力をつければ速く走れるようになるほど筋トレは魔法の方法ではないということです。