背中の筋肉を鍛えても丸くなった背中は真っ直ぐにはならない

ほとんどの人は生まれつき骨がゆがんでいる、曲がっているなんてことはありません。 日常生活の癖で筋肉の緊張のバランスが崩れてしまった結果、姿勢が悪くなって背中が丸くなったり骨盤が傾いてしまいます。

しかし、よく見られるのが姿勢が悪くなった原因を“筋力低下”と勘違いして丸くなった背中を引っ張って真っ直ぐにしようと背中を鍛える筋トレをさせるというものです。 丸くなってしまった背骨を背中の筋肉の強い力で引っ張って真っ直ぐにするというのは理屈的にはわかりますが、背中の筋肉を鍛えて姿勢が良くなったという人はほとんど見ません。

そもそも背中が丸くなっていると筋肉はたるんでいるように思ってしまいますが、背筋はすでに頑張ってくれていて、伸ばされて緊張し硬くなっています。 緊張して硬くなっている筋肉にさらに負荷をかけても余計に緊張させるだけです。 一方、体の前面（胸、お腹）は縮んで硬くなっています。縮んで硬くなっている筋肉を引っ張っても伸ばすことはできません。 筋肉の状態から考えてみると筋肉を鍛えて姿勢を良くしようとすることに無理があるということがわかります。

そんなきついことをして矯正しようとうまくいきませんが、元の状態に戻すと考えればもっと簡単に丸くなった背中も傾いてしまった骨盤も元の真っ直ぐな状態を取り戻せます。 それが“体をゆるめる”ということです。 全身の筋肉を立つために必要な最低限の緊張のレベルまでゆるめても筋肉の緊張のバランスは取れます。

筋肉の緊張をゆるめる方法はいろいろあります。 トレーニングのように体を動かしてもゆるめることはできます。 一般の人の場合、筋肉を使いすぎて筋肉が縮んで硬くなっているというよりも動かしていないために萎んで硬くなってしまっているというようなことがほとんどなので体を動かす方が効果的なように感じます。 別に大きな負荷も必要ありませんし、一生懸命頑張る必要も、辛いことをする必要もありません。 楽に、軽く、気持ち良く体を動かすだけです。

もともとゆがんでも曲がっていない背骨を真っ直ぐな状態に戻すために辛いこと、きついことをしないといけないというイメージを変えることが必要ということです。