岡山・腰痛、ひざ痛改善パーソナルトレーナーのblog | パーソナルトレーナー 岡田 康志

腰痛、ひざ痛、身体の不調を根本から改善するためのトレーニングの考え方についてご紹介

筋肉を付けすぎるとスピードが遅くなってしまう?

大きな筋肉をしているのに走るのが遅い、打ってもボールが飛ばないといったことがあると「筋トレでつけた筋肉は競技に使えない」、「筋肉を増やすと動作スピードが遅くなる」などと言われます。

速く走る、速く振るための条件を考えてみると筋肉(速筋線維)の割合が多い方が有利です。
しかし、どういう筋肉をしているのか、体の使い方が適切かなど他にも条件はあります。
筋トレはあくまで筋肉を大きくする方法で、目的ではありません。
速く走れない、振れない原因、課題を明確にし、それをクリアするための適切な方法を選択しなければいけません。

スピードが遅いケースで多いのは筋肉が硬いことです。
普通の筋トレは筋肉を大きくすることが目的なので筋肉にストレスをかけるため大きな重量で限界まで繰り返し、何セットも量を行って限界まで追い込むようなやり方です。
筋肉を収縮させることばかりしているので筋肉が縮んで戻らなくなってしまいます。
それが筋肉が硬くなってしまった状態です。
硬くなった筋肉は動きも悪く、重く感じます。
そういった筋肉で素早い動作をするのは無理です。

また、トレーニングには特異性の原則というものがあります。
レーニングで行ったことに対して適応が起こるというものです。
ベンチプレスで100kg挙げれば、ベンチプレスという動作で発揮する力は大きくなるがスクワットでは役には立たない、スクワットが100kgできてもスクワットの力が大きくなっただけで速く走れるような直接効果はありません。
こういった原理原則というものも頭に入れてトレーニングのプログラムを作成する必要があります。

パワーというとほとんどの場合、「筋力」をイメージします。
なのでパワーを上げるために高重量の筋トレで筋肉を大きくして筋力を高めてパワーをアップさせようと考えますが重いものは何も持っていない時よりも速く動くことはできません。
一生懸命重い物を持ち上げようとすることで実際の競技動作での力の発揮の仕方、タイミングとは違ってしまい、そのズレがパフォーマンスに影響してしまうということもあります。

パワーは「筋力×スピード」です。
速い動きというベースがあってそこにどれだけ大きな力を発揮できるかという考え方です。
「スピード」という面を意識したトレーニングでも筋肉を大きくしたり、筋力を高める、パワーを高めることはできます。

筋肉には速筋線維(白身)と遅筋線維(赤身)があります。
速筋線維の特徴は筋肉の収縮の速さが速く、大きな力を発揮することができるというものです。
一方、遅筋線維の特徴は筋肉の収縮の速さは遅く、大きな力は発揮できないが持久力には富んでいるというものです。

こういった筋肉の特徴を考えると、スピードを意識してウエイトトレーニングのエクササイズを行っても速筋線維を刺激することはできます。
スピードを重視するということは重量は軽くなります。
重量が軽い分、量を増やすことで強度を高めることができます。
速筋線維は持久力はないので60秒程度で疲労困憊になります。
このようなトレーニングのやり方で行えばスピードを遅くすることなく筋肉を大きくすることができます。

しかし、こういったトレーニングは補助、補強、サブ的なものです。
動作スピードに問題があるのは実際の動作の問題です。
体の使い方、力の出し方、タイミングがきちんとできていないなどが考えられます。
実際の動作での体の使い方に問題があってトレーニングで高めた筋肉がパフォーマンスに充分に生かせないから「使えない筋肉」、「筋肉がついてもスピードがつかないから筋トレは意味がない」と言われるのです。

動作において重要なことは「効率」です。
いかに楽に速く動く、大きな力を発揮するか、それがパフォーマンスの差になります。
楽に、最小のエネルギーで大きな仕事をするかということを踏まえた体の使い方をやっていかないといけないということです。

ランニングスピードが上がらないという方に多いのが走る時に地面を後方に押していない、腕が前に振れていないといったものです。
走る時はスタートしてから徐々に加速してトップスピードに乗っていきます。
その時に大事なことが地面を後方へ押すことです。
遅い方によく見られるのは脚を前に出そうとする動きです。
脚を速く動かすだけでは加速しません。
ちなみに、加速度を高めるために必要なのは「除脂肪体重」、「押す時間」です。
除脂肪体重というのは筋肉、つまり白身(速筋線維)です。
世界のトップスプリンターは男性も女性も筋肉質な体型をしています。
それはこういった条件があるからです。
そして脚は速く動かすのではなく、地面を長く押すことです。
100mでも勝つのはスタートから勢いよく飛び出す選手ではなく、スタートはゆっくり出ているように見えて後半加速してくる選手です。
速い選手の動きを見るとスタートから地面を長く後方へ押しています。

スイングスピードが上がらない、スイングパワーが上がらないといったケースでも同じように速く振ろうと力を入れてクラブやバットを振っています。

スイングのパワーではヘッドの加速が大きく関係します。
頑張って振ろうと力んでしまうと減速してスイングのパワーは落ちてしまいます。

動きが下手なのは力み以外にも手や脚をどう動かすか頭の中で考え過ぎていることが原因です。
意識は筋肉を緊張させます。
筋肉の緊張は動きにブレーキをかけます。
つまり、スピードは上がりません。
動き・動作を習得する場合に大切なことは、「こうしなければならない」、「このように動かさないといけない」というように「どこをどうしなければならない」といった意識を持たないことです。

スピードは柔軟性から生まれます。
筋力アップよりも柔軟性を上げるようなトレーニングで動きの柔軟性を高めたり、腕の力を抜いてリラックスしてスイングするようにするだけですぐに飛距離は伸びることもあります。

スポーツで筋トレは必要ないと言われることがありますが、身体をコントロールする能力が同じレベルであれば、筋力レベルが高い方がパフォーマンスは高くなりますし、同じ筋力レベルであれば身体のコントロール能力の高い方がパフォーマンスが高くなるとも考えられます。
どちらが重要かということは一概に言えません。

スポーツのトレーニングではこれだけやっておけばよいというものはありませんから、現時点でどちらを優先しなければならないのかということをよく考えて計画的にトレーニングを行うことが大切ということです。